【サイバーパンク2077】世界一分かりやすい
サイバーパンク2020完全解説
暗黒の未来とジョニー・シルヴァーハンドの伝説【世界観】
1980年代SF文学界を中心に「サイバーパンク」のムーヴメントが巻き起こります。このムーヴメントに乗じてアメリカ合衆国のゲーム出版会社RタルソリアンゲームズからテーブルトークRPG「サイバーパンク2020」が発売されます。
単なるテーブルトークRPGとは言えない程世界観が作り込まれており、サイバーパンク2077に登場するサイバーウェアや武器、ヴィーグル等はこの2020の時点で1000種類以上と言われていながら、その全てにメーカー名や商品名などが設定されており、その多くがサイバーパンク2077に登場します。
今回はそんなサイバーパンク2020のストーリーを分かりやすくお伝えしていきます。サイバーパンク2077をより楽しむエッセンスにもなりますので、ぜひ最後までお楽しみください。
📚 サイバーパンク基礎知識
🌆 暗黒の未来の始まり
1980年代まで「サイバーパンク」の世界は我々が生きる現実の地球とほとんど変わらない歴史を歩んでいきます。しかし、いつの間にかどこかで歴史の歯車が致命的なまでに歪んでしまっていました。誰も気づくことのないまま、人の心はゆっくりと荒んでいったのでした。
社会は人種、思想、出自、財力、職業や所属する組織ごとに分断され、格差と不信と対立が広がっていきます。人々は自己中心的になり、刹那的で暴力的な風潮が蔓延。倫理を見失った政府と企業によって科学技術は作り手である人類の理解を超えた進化を始めていくのでした。
⚠️ 1989年:暗黒の未来の始まり
ベルリンの壁の崩壊とともに”暗黒の未来”は始まります。この年、腐敗しきったアメリカの政府機関が結託した秘密組織「ギャング・オブ・フォー」が秘密裏にクーデターを実行。
- CIA(中央情報局)
- NSA(国家安全保障局)
- FBI(連邦捜査局)
- DEA(麻薬取締局)
第一次中米戦争の勃発
1990年、国防上の理由を掲げてパナマに侵攻し運河地帯を制圧。しかしパナマ軍が周辺国の山岳地帯へ逃げ込みゲリラ戦を展開したことで戦況は泥沼化し、ついには中米諸国連合4か国との全面戦争に突入することとなり、後に第一次中米戦争と呼ばれる戦いが勃発します。
災厄の連鎖
1993年
コロンビアの麻薬王がニューヨークで小型核爆弾によるテロを実行。1万5000人の死者。
1994年
世界株式市場で大暴落が発生
1996年
大統領および副大統領の暗殺事件。アメリカついに崩壊。
2000年
ウェイスティング・プレイグ(致死性伝染病)が世界中で流行
職と住居を失った人々は寄り集まって「ノーマッド」と呼ばれる放浪の部族集団を形成。ノーマッドには短期労働に従事して食い扶持を得る者もいれば、血に飢えた獣のごとく略奪と暴虐の限りを尽くす者達も存在していました。

🗾 サイバーパンク世界の日本
サイバーパンク2077では背景として語られる程度の日本ですが、もちろん詳しい設定が用意されています。日本語版サイバーパンク2020のサプリメントである「ニッポンソースブック」から2020年の日本についてお話ししましょう。
🏢 清潔なディストピア
サイバーパンク世界のアメリカが悪徳と暴力の支配する退廃的未来都市とポストアポカリプス的な無法の荒野だとすれば、日本は冷徹なシステムと旧態依然とした伝統的なシキタリによって厳格に管理統制された清潔なディストピアと言えるでしょう。
アラサカの台頭
日本ではアメリカの崩壊に伴う混乱に乗じて、セキュリティ企業のアラサカが勢力を急拡大。政権与党と結託して憲法第九条を無期限停止、自衛隊を掌握し一時は日本を支配下に置く寸前にまで力を持ちます。
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経済大国としての日本
暗黒の未来は日本人にとって意外と完全に悪い未来というわけではなく、経済面では一国で欧州連合全体に匹敵するほどの超大国になっています。また世界中で猛威を振るった飢餓や伝染病も日本にはほとんど影響がなく、それどころか合成食料の輸出や周辺諸国の動乱に伴う「特需」で1990年代からずっと好景気が続いています。
🎸 “ロッカーボーイ”ジョニー・シルヴァーハンドの誕生
ジョニー・シルヴァーハンドが青年期を過ごしたのは、このような激動の時代でした。彼の本名はRobert John Linder(ロバート・ジョン・リンダー)。
⚔️ 第一次中米戦争での体験
第一次中米戦争(1990~96年)に徴兵されて従軍。米陸軍の記録によれば、ニカラグアでの作戦行動中に行方不明になっていますが、実際には:
- 極秘の非人道的作戦に参加させられる
- 左腕を失う重傷を負う
- 戦死を装って軍を脱走
変わり果てた故郷
命からがら帰郷した彼が目にしたのは、変わり果てた故郷でした。生まれ育った小さな住宅街は更地にされ、巨大企業群の出資によって新たな巨大都市が建設されていたのでした。コロナド市、後にナイトシティと改名されることになる街として。
サムライ結成とメジャーデビュー
彼は左腕の義手にちなんで自らの名をジョニー・シルヴァーハンドと変え、新たな人生を歩み出します。その後、彼は「サムライ」というロックバンドを結成。2003年にメジャー・デビューを果たすやいなや爆発的なヒットを連発し、一躍トップスターの座に駆け上がります。
🎵 「Sins of Your Brothers」
音楽会社に脅されたジョニーは、彼らしい痛烈な報復に出ます。ニュー・アルバム「Sins of Your Brothers」をリリースし、収録曲の中で:
- 自分が脱走兵であることを認める
- 政府に命じられた非人道的行為の数々を告発
- 中米戦争の帰還兵や脱走兵に対する世間の認識を完全に変える
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💙 Never Fade Away
サイバーパンクには全シリーズを通じて貫かれている1つのバックグラウンドストーリーがあります。それがジョニー・シルヴァーハンドとオルト・カニンガムの物語です。
📖 物語の起点
この物語は、初版である「サイバーパンク2013」に収録されていた「Never Fade Away」という短編小説から始まります。「サイバーパンク2077」の物語も実はこの小説が起点と言われています。
2013年4月:運命の夜
ジョニーはナイトシティでのライブを終え、恋人のオルト・カニンガムを連れて裏口から会場を出たところで、ファンを装って近づいてきた暴漢に撃たれ瀕死の重傷を負い、オルトを連れ去られてしまいます。
🧠 ソウルキラー・プログラム
オルトはAIの人格データを記録するマトリクスを開発中に、それが人間の生体エングラムを記録できることに気づきます。しかし:
- 単に電子的なコピーが作られるのではない
- 肉体から意識が失われて記録装置に乗っ取られる
- まるで魂が吸い取られてしまったかのように
アラサカ・タワー突入作戦
ジョニーは凄腕ソロのローグとノーマッドのサンチァゴを仲間に加えます。そして、ロッカーボーイ流のやり方で更に味方を集めます。

🎤 ゲリラ・ライブ作戦
ジョニーがアラサカ・タワー前にある緑地公園でゲリラ・ライブをやるという噂が駆けめぐります:
- 6千人もの熱狂的なファンが詰めかける
- 「Chippin’in」を歌い観衆の興奮は頂点に
- 興奮した観客がアラサカ・タワーに殺到
- その隙にジョニー達がタワー内に侵入成功
悲劇的な結末
オルトの計画通り、新型ソウルキラーが使用されオルトの精神はコンピュータに移し替えられますが、ジョニー達の突入とともに銃撃戦が始まり、オルトのサイバー・デッキは破損。肉体との接続が断たれてしまいます。
ジョニーはオルトが死んでしまったと思い込み、彼女の肉体を抱きしめてアラサカ・タワーを後にします。ネット空間から助けを求めるオルトの存在に気がつかぬまま……
💥 Fire Storm
ここからは「2020」のグランドフィナーレを飾る長編シナリオ「Fire Storm」で描かれる内容をお話ししていきましょう。
⚠️ 注意事項
「Fire Storm: Shockwave」終盤のイベントシーンにおいてジョニー・シルヴァーハンドは壮絶な戦死を遂げます。しかしそこには彼が後にデジタルゴースト化するような描写は一切書かれておらず、これから語る経緯は「2077」の歴史とは異なる部分もあることをご理解ください。
第四次企業戦争
2023年、二つのメガコープ、アラサカとミリテクの対立が全世界を巻き込むまでに拡大した第四次企業戦争のさなか、ジョニーはオルトの精神がデジタルゴーストとしてネット上で生き続けていたこと、またしてもアラサカが彼女を捕らえ新たなソウルキラーを作らせていることを知ります。
最後の救出作戦
10年前にもオルト救出作戦に関わったトンプソンとローグ、新たな仲間であるシャイタンとスパイダー・マーフィーとともに、ジョニーは今度こそオルトを救出するために動き出します。
🤖 アダム・スマッシャーとの最終決戦
脱出しようとする彼らの前にアラサカのサイボーグ兵アダム・スマッシャーが立ち塞がります:
- アダムの猛攻でトンプソンが重傷
- ジョニーの銃ではアダムの装甲を貫けない
- 反撃のオート・ショットガンの直撃を受ける
- 胴体を真っ二つにされ、伝説のロッカーボーイが戦死
ナイトシティ核爆発
しかし、ジョニーのチームは囮だったのです。エディントン将軍は別働隊に小型核爆弾を持たせ、アラサカの機密データを奪取ないし破棄した後はタワーそのものを跡形もなく吹き飛ばす計画でした。
💀 大惨事
核爆弾の威力は将軍が想定していたよりもはるかに大きく、ナイトシティの住民75万人あまりが死亡する大惨事となってしまいます。モーガン・ブラックハンドとジョニー・シルヴァーハンドの遺体はついに発見されることはありませんでした。
赤の時代
第4次企業戦争は2025年まで続いた末、日米両政府の妥協によりはっきりとした決着がつかぬまま終結。世界は完全に疲弊しきっていました。地球の空は戦争によって大気中に巻き上げられた塵埃のせいで真っ赤に染まり、2030年代半ばまで晴れることはありませんでした。その空を象徴して第4次企業戦争の終結から10年余りの時期は「赤の時代」と呼ばれています。
📺 詳細解説動画
🌟 2077への遺産
ジョニーの死から50年余りが過ぎた2077年、苦難の時代が依然として続いていますが、人々はジョニー・シルヴァーハンドの伝説を語り継ぎ、彼の歌を歌い継ぎ、彼の反抗の魂を受け継いでいます。
🎮 新たなる主人公V
新たなる主人公Vもまたそのようなサイバーパンクの1人。復興を遂げたナイトシティで、Vはジョニー・シルヴァーハンドとオルト・カニンガムとどのような物語を紡ぐのか。
2077をプレイして、ぜひあなた自身の目で確かめてみてください。
🎯 まとめ
サイバーパンク2020は単なるTRPGを超えた、綿密に構築された世界観を持つ傑作です。暗黒の未来から始まり、ジョニー・シルヴァーハンドの壮大な物語、そして2077年のナイトシティまで、すべてが一つの大きな物語として繋がっています。
✨ この記事のポイント
- 1989年のクーデターから始まった暗黒の未来
- 第一次中米戦争でのジョニーの体験
- サムライ結成からロッカーボーイへの成長
- オルト・カニンガムとの愛と別れ
- 第四次企業戦争とアラサカ・タワー爆破
- 2077年に受け継がれる反抗の魂
この深い世界観を理解することで、サイバーパンク2077をより一層楽しむことができるでしょう。ぜひナイトシティでVとして自分だけの物語を紡いでください。
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